Interview

ドクターズインタビュー

院長中岡 大樹

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院長インタビュー

“病気になった方々
の力になりたい”
そうした思いから
医師を志しました

医師を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

医師を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

病気になった状態は人間にとって「一番の極限状態」だと思うのです。そういう状況に身を置き、そこにいる方々の力になりたいという思いが医師を志すきっかけでした。根底には「人間そのものへの興味」がありましたね。人間を深く知りたい、理解したいという欲求が原動力になっていたのだと思います。

具体的に医師の道を目指し始めたのは何歳頃ですか?

具体的に医師の道を目指し始めたのは何歳頃ですか?

高校1年生の頃です。実は当時、医師以外にドキュメンタリー作家への憧れもありました。一見するとまったく異なる職業に見えますが、人間を深く追求するという点では通じるものがあると感じていました。医療という形で人間と真摯に向き合いたい。そんな思いが芽生えた時期でしたね。

人間の理解を深めるのは容易ではないと思います

人間の理解を深めるのは容易ではないと思います

その通りです。例えば余命わずかな患者様と向き合う時、こちら側にも相応の覚悟が求められます。生半可な気持ちでは務まりません。だからこそ、医師になる決意をした時には並々ならぬ決意を胸に秘めていました。研修医時代は1年のうち自宅で寝たのはわずか5日。それほど必死に頑張っていましたね。

西淀川区でクリニックを開業された理由は?

西淀川区でクリニックを開業された理由は?

私は西淀川区の出身で、神戸大学の関連病院である千船病院に勤務していましたので、この地域で開業するのが自然な流れでした。ただ、なかなか条件に合う物件が見つからず、一時は諦めかけていたのです。

そんな時、製薬会社の方が物件探しを買って出てくださったのです。ご自身には何の得にもならないことなのに、本当に一生懸命動いてくださって。おかげで今の理想的な物件に出会うことができ、開業の運びとなりました。

あの時のご縁は今も続いており、物件を紹介してくださった方は現在、患者様としてクリニックに通ってくださっています。

“不自由のない
長寿”の実現
それが診療の最終目標
だと考えています

クリニックの診療理念やコンセプトについてお聞かせください

クリニックの診療理念やコンセプトについてお聞かせください

私がよく使う言葉なのですが、診療の根本には「不自由のない長寿」の実現があります。健康寿命を延ばし、寝たきりや要介護の期間を最小限に抑えること。それが診療の最終目標だと考えています。

この目標達成のためには、生活習慣病や骨粗鬆症などの疾患を早期発見・早期治療し、重篤化を防ぐことが大事です。特に糖尿病と骨粗鬆症の両者は密接に関係しており、血糖コントロールが悪いと骨折リスクが高まります。糖尿病の方は骨密度が高くても骨折しやすいという研究データもあります。

そのため当クリニックでは、骨密度の定期検査を強く推奨しています。骨密度はピーク時の何%かで評価しますが、糖尿病の方の場合、数値から予想されるより10%ほど割り引いて考える必要があります。

さらに、腎臓病も見逃せない疾患の1つです。軽度の慢性腎臓病(CKD)は高齢者に非常に多く、特に基礎疾患がなくても加齢に伴い徐々に腎機能が低下するのが特徴です。ここで重要なのは、腎機能の低下は骨折リスクを高める点です。腎機能が落ちると骨がもろくなりやすいことがわかっています。つまり、骨粗鬆症予防の観点からも、腎機能のチェックは欠かせないのです。

当クリニックでは、こうした疾患の関連性を常に意識しながら診療を行っています。お一人おひとりの患者様の状態を丁寧に評価し、必要な検査を適宜行いながら、総合的に健康管理をサポートしていきます。

糖尿病と骨粗鬆症の関係について、もう少し詳しく教えてください

糖尿病と骨粗鬆症の関係について、もう少し詳しく教えてください

糖尿病の方の骨は、健常者と比べてもろくなりやすいことがわかっています。骨密度の数値が同じでも、糖尿病の方が骨折リスクは高いのです。

その理由の1つが「悪玉架橋」の存在です。骨の中のタンパク質同士を繋ぐ「架橋」のうち、糖尿病ではいわゆる「悪玉」とされるものが増えてしまうのです。

骨を建物に例えると、骨密度はコンクリートの強度、架橋は鉄骨の役割を果たします。糖尿病の方の骨は、コンクリートの強度は問題ないのに、鉄骨の質が粗悪化している状態と言えるでしょう。

この悪玉架橋は血糖コントロールが悪いほど増えると考えられています。HbA1cが高い方ほど、骨折リスクが高まるのはそのためです。現在、「骨質マーカー」という検査の開発が進められており、将来的にはこの悪玉架橋を測定する検査が保険適用になるかもしれません。そうなれば骨密度という「量」だけでなく、骨の「質」を評価することで、骨折リスクをより正確に把握できるようになるはずです。

こうした最新の知見を診療に活かしていくことも、私の大切な仕事だと考えています。常にアンテナを張って、患者様に還元できる情報を集めていきたいです。

“イベニティ”と
“オスタバロ”
近年、骨粗鬆症の画期的な
新薬が登場しています

日々の診療の中で心がけていることは何でしょうか?

日々の診療の中で心がけていることは何でしょうか?

何より大切にしているのは、「なんでも話せる」雰囲気作りです。初診時の問診から始まり、診察のたびに患者様としっかり向き合い、コミュニケーションを取ること。それが信頼関係の基盤になると考えています。

治療方針の決定に際しては、エビデンスを重視しています。例えば高血圧や糖尿病の管理目標値は、ガイドラインなどを参考に患者様ごとに設定します。自分の考えを押し付けるのではなく、科学的根拠に基づいた提案を心がけています。

一方、検査に消極的な患者様に対しては、粘り強く説得することも必要です。検査を受けること自体が立派な治療であり、病気の早期発見・重症化予防に繋がるのだと伝えています。時には強く勧めることもありますが、それも患者様の健康を第一に考えてのことです。

専門である骨粗鬆症の検査・治療について教えてください

専門である骨粗鬆症の検査・治療について教えてください

骨粗鬆症の検査では、全身型骨密度測定器を用いたDEXA(デキサ)法による評価が重要です。腰椎や大腿骨など骨折リスクの高い部位の骨密度を的確に把握できる点が特徴です。骨密度はピーク時の何%かで評価しますが、80%以下で骨粗鬆症、70%以下で重症と診断します。

治療に関しては、近年いくつかの画期的な新薬が登場しています。なかでも「イベニティ」と「オスタバロ」は強力な骨形成促進効果を有しており、重症例に適しています。「イベニティ」は月1回の注射で、12回の投与で治療が完結します。大腿骨の骨密度改善に優れた効果を示します。

一方、「オスタバロ」は連日の自己注射を18ヶ月間継続する必要がありますが、腰椎骨密度の改善効果は「イベニティ」に肉薄します。この2剤の使い分けに関しては、患者様の状態や希望を踏まえつつ検討しています。

先ほども触れましたが、特に糖尿病を合併する骨粗鬆症の方の治療には細心の注意を払っています。血糖コントロールの状況次第では、骨密度以上に骨質の悪化が進行している恐れがあります。リスク評価には慎重を期す必要があります。

“不自由のない長寿”は
理想論ではありません
諦めなければ、誰もが
手にすることのできる
未来なのです

開業医として、今後目指していきたいことをお聞かせください

開業医として、今後目指していきたいことをお聞かせください

「不自由のない長寿」の実現は開業当初からの変わらぬ目標です。超高齢社会を迎えた我が国において、健康寿命をいかに延伸するか。それが医療に課せられた重要な使命だと感じています。

糖尿病や骨粗鬆症をはじめとした生活習慣病への対策強化はもちろんですが、がん対策にも力を入れていきたいと考えています。定期的な腹部エコーや胸部レントゲンによって、早期がんを発見した例は数多くあります。自覚症状の乏しいうちから病変を捉え、治療に繋げていく。それが開業医に求められる役割だと認識しています。

また、認知症への対応も急務の課題です。適切な薬物治療はもとより、ご家族への助言・指導も欠かせません。物忘れを責めたり、徘徊を叱ったりしないよう伝えています。認知症の方の行動を正しく理解し、温かく見守ることの大切さを啓発していきたいですね。

最後に、患者様にメッセージをお願いします

最後に、患者様にメッセージをお願いします

何といっても「諦めないでください」というメッセージを送りたいですね。糖尿病も骨粗鬆症も、あるいは認知症でさえも、適切な治療とケアを継続することで改善は期待できます。

例えば骨粗鬆症の治療で言えば、「自分は骨密度が低すぎて、もう手遅れだ」と思っている方が少なくありません。しかし、現在の治療方法をもってすれば、たとえ90歳を超えていても骨折リスクを大幅に減らすことは可能なのです。

「不自由のない長寿」は理想論ではありません。適切な治療と前向きな姿勢があれば、誰もが手にすることのできる未来なのです。どうか最後まで希望を持ち続けていただきたい。それが私からの心からのメッセージです。

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