副甲状腺疾患

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副甲状腺とは?

甲状腺の裏に位置する小さな内分泌器官

甲状腺の裏に位置する小さな内分泌器官

副甲状腺とは、甲状腺の裏に位置する小さな内分泌器官で、カルシウムを調節するホルモン(PTH:パラソルモン)を産生しています。副甲状腺ホルモン(PTH)は骨からカルシウムを放出させたり、腎臓でのカルシウムの再吸収を増やしたりするなどして、血液中のカルシウム濃度を一定に維持する働きを担っています。

なお、副甲状腺という名前ではありますが、甲状腺とは別の組織となり、それぞれのホルモンの働きも異なります。甲状腺は蝶が羽を広げたような形をしており、通常、その背面の上下左右に1個ずつ、合計4個の副甲状腺が存在します。

主な副甲状腺疾患

副甲状腺機能亢進症(原発性・続発性)

副甲状腺機能亢進症(原発性・続発性)

副甲状腺機能亢進症とは、何らかの原因によって副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される状態です。

原発性副甲状腺機能亢進症

副甲状腺そのものに原因があり、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病気を「原発性副甲状腺機能亢進症」と言います。必要以上に副甲状腺ホルモンが分泌されるため、カルシウムが血中に過剰に溶け出してしまい、腎臓や尿管、膀胱に結石ができたり、骨塩減少症、骨粗鬆症など骨の異常や、高カルシウム血症などを起こしたりすることがあります。

また、血中のカルシウム濃度が高くなるにつれて、次のような症状がみられることがあります。

  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 筋力の低下
  • イライラ感(情緒不安定)
  • 不眠
  • 倦怠感
  • 便秘
  • 体重減少
  • 消化性潰瘍による腹痛
  • 意識障害(重症の場合)

など

原発性副甲状腺機能亢進症の原因は副甲状腺の腫瘍であることが多く、4個ある副甲状腺のうち1つだけが大きくなる腺腫と、複数の腺が肥大する過形成がほとんどで、癌である場合は極めて稀です。
なお、腫瘍ができる原因は、遺伝性である一部の場合を除いて明らかになっていません。
治療には、手術療法による切除や薬物療法を行います。

※手術が必要な患者様につきましては、適切な専門機関をご紹介いたします

続発性副甲状腺機能亢進症

原発性に対し、副甲状腺以外の原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気を「続発性副甲状腺機能亢進症」と言います。慢性の腎臓病やビタミンD作用不全症、PTH不応症などが原因となりますが、多くは慢性腎不全によって起こります。

慢性腎不全では、腎臓でのリンの排泄とビタミンD3の活性化ができず、また、活性化ビタミンD3の欠乏により、腸管でのカルシウム吸収が低下します。このため、血液中のカルシウム濃度が低下してリンが上昇し、この状態を改善しようと二次的に副甲状腺ホルモンがたくさん分泌されることになります。
副甲状腺ホルモンが長期間にわたり過剰に分泌されると、カルシウムの放出により骨がもろくなる「繊維性骨炎」となり、骨痛や骨変形のほか骨折などを引き起こす場合があります。また、血管石灰化など様々な部位へカルシウムが沈着し、動脈硬化や心臓弁膜症、関節炎などの病気を起こすことがあります。

続発性副甲状腺機能亢進症の治療には、薬物療法を行います。
高リン血症を改善するためのリン吸着薬などを使用し、副甲状腺ホルモンを低下させるお薬や骨粗鬆症のお薬を使う場合があります。

副甲状腺機能低下症

副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が低下することでその作用が低下し、血中のカルシウム濃度が低くなったり、リン濃度が上昇したりする病気です。甲状腺もしくは副甲状腺手術後などの術後性副甲状腺機能低下症や、遺伝子異常、自己免疫疾患などにより発症しますが、発症の原因がはっきりとわかっていないものもあります。

副甲状腺機能低下症の症状は、血中カルシウム濃度が低下する「低カルシウム血症」によるもので、手足または口のまわりがピリピリと痺れたり、特徴的な手足の筋肉の痙攣や、つっぱり(テタニー症状)が多くみられたりします。

副甲状腺機能低下症の治療には、活性型ビタミンD3製剤を使用した薬物療法を行い、血中カルシウム濃度を正常範囲に維持します。また、活性型ビタミンD3製剤のみでは改善が難しい場合は、カルシウム製剤を併用して治療することがあります。
これらの治療により血中カルシウム濃度を正常に維持できれば、多くの患者様が、目立った自覚症状なく日常生活を送ることが可能となります。

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